オフショア開発は、コスト削減や優秀なIT人材の確保を目的に、多くの企業で検討されています。しかし、実際に導入を進める際には、どの国に開発を委託するか、どのような基準で開発会社を選ぶかなど、具体的な方法に迷うことも多いでしょう。また、言語や文化、商習慣の違いもプロジェクトの成功に大きく影響します。
各開発エリアの特徴を理解し、自社の目的やプロジェクトの内容に合った開発会社を選ぶことが、オフショア開発の成功につながります。事前に十分な情報収集と比較検討を行うことで、リスクを減らし、期待する成果を得やすくなるでしょう。
本記事では、主要なオフショア開発エリアそれぞれの特徴や強み、そして信頼できるオフショア開発会社を見極めるための具体的なチェックポイントについて、分かりやすく解説します。
おすすめのオフショア開発エリア7選
オフショア開発の委託先を選ぶ際は、どの国・地域にするかが重要です。開発コストや技術者のスキル、コミュニケーションの取りやすさは、エリアによって大きく異なります。
ここでは、オフショア開発で注目される代表的な国と、それぞれの特徴を解説します。自社の目的やプロジェクトに適したエリア選びの参考にしてください。
ベトナム
ベトナムは、オフショア開発の委託先として多くの日本企業から選ばれる国の一つです。その理由として、日本との地理的な近さや、現地の方々の勤勉さが挙げられます。
ベトナムはIT教育に力を入れており、若手の技術者も多く活躍している国です。また、日本語に対応できるIT人材が多く、コミュニケーション面でも利点があります。
以前は開発単価の安さが大きな魅力でしたが、経済成長に伴い人件費は上昇傾向にあります。それでも、技術力や日本語対応人材の多さなどを総合的に考えると、日本企業にとって依然として魅力的な開発拠点と言えるでしょう。
インド
インドは、世界有数のIT大国として知られ、オフショア開発の委託先としても高い人気を誇ります。
インドの大きな強みは、世界トップクラスの技術力を持つITエンジニアが多いことです。特に大規模なシステム開発や、専門性の高い基幹システムの開発で高い評価を受けています。また、多くのエンジニアが英語を得意としているため、グローバルなプロジェクトにも対応しやすい環境です。
ただし、エンジニアの単価は他のアジア諸国と比べて高めです。そのため、コスト削減だけを目的とする場合は、期待したほどの効果が得られない可能性があります。
ミャンマー
ミャンマーは、オフショア開発の委託先として比較的新しい市場ですが、その潜在的な魅力から注目を集めています。特に大きなメリットは、人件費が他のアジア諸国と比較して低い水準にあることです。そのため、開発コストを大幅に抑えたい企業にとっては魅力的な選択肢となります。
ミャンマーでは、勤勉な人材が多いとされています。しかし、オフショア開発の歴史が浅く、ITインフラも他国ほど整備されていません。また、日本語に対応できる人材もまだ少ないため、コミュニケーション方法や体制については事前に十分な確認が必要です。
中国
中国は、オフショア開発の委託先として長年の実績を持つ国です。かつてはコストメリットが大きな魅力でしたが、経済成長に伴い、現在は高い技術力が注目されています。特にAIやIoTといった先端技術分野での開発力には定評があります。
中国は地理的に日本と近く、日本語に対応できるIT人材も多いです。そのため、コミュニケーションコストを抑えやすいという利点があります。加えて、多くのITエンジニアを抱えており、大規模なプロジェクトにも対応できるリソースがあります。品質を重視する開発や、高度な技術を要する案件に適した選択肢と言えるでしょう。
フィリピン
フィリピンは、オフショア開発の委託先として、特に英語でのコミュニケーションを重視する企業に適した国です。公用語の一つが英語であるため、多くのITエンジニアが高い英語能力を持っています。これにより、グローバル市場向けのプロダクト開発や、英語での仕様書・ドキュメント作成がスムーズに進められます。
フィリピンは日本との時差が1時間と短いため、リアルタイムでのコミュニケーションが取りやすい点もメリットです。幅広い年齢層の労働力が活躍しており、今後のIT人材の成長も期待されています。
バングラデシュ
バングラデシュは、オフショア開発の委託先として、コスト効率の良さで注目を集めている国です。比較的安価なIT人材単価が大きな魅力であり、開発コストを抑えたい企業にとって有力な選択肢となります。バングラデシュ政府もIT人材の育成に力を入れており、今後の成長が期待されています。多くの技術者が英語でのコミュニケーションに対応可能です。
ただし、バングラデシュは日本市場向けのオフショア開発実績が他のアジア諸国と比較するとまだ少ないです。そのため、開発パートナー選定時には実績や体制を慎重に確認することが求められます。新しい開発拠点としての可能性を探る企業に適した国と言えるでしょう。
タイ
タイは、オフショア開発の委託先として、日本との文化的な親和性の高さや良好な開発環境が魅力です。日本との時差が2時間と少ないため、コミュニケーションが比較的取りやすい点もメリットです。また、日本のビジネス文化に対する理解が進んでいる企業もあります。
タイで特に注目されるのが、デザイナーのクリエイティブスキルの高さです。UI/UXデザインなど、デザイン性が重視されるプロジェクトに適しています。また、政府によるデジタル産業支援も進んでおり、開発環境が充実している点も強みです。
オフショア開発会社を選ぶときのポイント
オフショア開発を成功させるには、開発エリアの選定に加えて、信頼できる開発会社を見極めることが重要です。会社によって得意分野や開発体制、コミュニケーションの進め方は異なります。
ここでは、自社に適したオフショア開発会社を選ぶために、確認すべき具体的なポイントを解説します。適切なパートナー選びによって、プロジェクトの質はより向上するでしょう。
対応している領域を確認する
オフショア開発会社を選定する際には、その会社が対応している開発領域や得意とする技術分野を詳細に確認することが不可欠です。
各企業は、Webシステム開発、モバイルアプリケーション開発、業務システム構築など、それぞれ異なる分野に強みを持っています。自社が委託したいプロジェクトの内容と、開発会社の専門性や過去の実績が合致しているかを見極めましょう。具体的には、対応可能なプログラミング言語やフレームワーク、データベースの種類を確認することが重要です。
さらに、インフラ構築や運用保守の経験についても確認することが望ましいです。これにより、技術的なミスマッチを防ぎ、プロジェクトの品質向上につながります。
開発体制を確認する
オフショア開発会社を選定する上で、プロジェクトを円滑に進めるための開発体制の確認は非常に重要です。
まず、プロジェクトマネージャーの経験やスキル、リーダーシップを確認しましょう。また、日本側と現地開発チームの橋渡し役となるブリッジSEの存在と、その日本語能力や技術理解度も重要なポイントです。
開発チーム全体の構成や、アサインされるエンジニアがプロジェクトに必要な技術を保有しているか、関連する実務経験があるかも把握しておく必要があります。加えて、品質管理プロセスが確立されているか、定期的な進捗報告やコミュニケーションの手段・頻度が明確であるかも確認し、プロジェクトを任せられる体制かを見極めましょう。
契約形態を確認する
オフショア開発を委託する際には、契約形態の確認が不可欠です。代表的な契約形態には、特定の成果物の完成を目的とする「請負契約」と、一定期間、開発チームのリソースを確保する「ラボ型契約（準委任契約の一種）」があります。
請負契約は、仕様が明確で短期的なプロジェクトに適しており、納期や品質が保証されやすい一方、途中の仕様変更が難しい場合があります。ラボ型契約は、仕様変更に柔軟に対応でき、継続的な開発やノウハウ蓄積に向いていますが、自社でのマネジメントがより重要です。
プロジェクトの特性や目的を考慮し、より適した契約形態を選択することが大切です。
目的に合わせてオフショア開発エリアを選ぼう！
オフショア開発では、ベトナムやインド、フィリピンなど、それぞれ特徴の異なる国が委託先の候補となります。
委託先候補となる国々の特徴を比較し、自社に合う開発会社を見極めるためには、対応領域や開発体制、契約形態といった選定ポイントを押さえることが肝心です。自社のプロジェクトの目的や要件を明確にし、より適したエリアと信頼できるパートナー企業を選びましょう。
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