
オフショア開発は、コスト削減やIT人材不足の解消に有効な手段として注目されています。しかし、言語や文化の壁といった特有の課題もあり、どのような業務を委託すべきか判断に迷うケースも少なくありません。
オフショア開発の効果を最大限に引き出すためには、その特性を理解し、適したプロジェクトを見極めることが重要です。
本記事では、オフショア開発が適しているプロジェクトや分野の具体的な特徴について、詳しく解説します。
オフショア開発とは?
オフショア開発とは、システム開発やソフトウェア開発といった業務を、海外の企業や現地法人へ委託する開発手法です。コスト削減やリソース確保などを目的として、海外の比較的安価な労働力を活用することが特徴です。
国内のIT人材不足が課題となる中で、有効な解決策の一つとして注目されています。主な委託先にはベトナムやフィリピンなどがあり、国内の地方都市へ委託するニアショア開発とは区別されます。
オフショア開発のメリット・デメリット
オフショア開発の大きなメリットは、開発コストを削減できる点や、国内で不足するIT人材を確保できる点です。人件費が比較的安い海外のエンジニアに委託することで、プロジェクト全体の費用を抑えることが可能です。
一方で、言語や文化、商習慣の違いからコミュニケーションが円滑に進まず、品質の低下を招くリスクがデメリットとして挙げられます。また、時差によるリアルタイム連携の難しさや、為替変動によるコスト増のリスクも考慮する必要があります。
オフショア開発が適しているプロジェクトとは?

オフショア開発は、どのようなプロジェクトにも適しているわけではなく、その特性を生かせる場合に大きな効果を発揮します。コスト削減効果を大きく引き出すためには、委託するプロジェクトがオフショア開発に向いているかを見極めることが重要です。ここでは、オフショア開発に適したプロジェクトが持つ具体的な特徴を解説します。
大規模なプロジェクト
開発工数が多く、長期間にわたる大規模なプロジェクトは、オフショア開発に適しています。開発規模が大きくなるほど、国内との人件費の差によるコスト削減効果が大きくなるためです。
例えば、大規模なWebシステムや業務システムの開発は、多くのエンジニアを必要とするため、そのメリットを実感しやすいでしょう。継続的に作業が発生するプロジェクトも、コストメリットを享受しやすいためオフショア開発に向いています。
環境に依存しないプロジェクト
特定の物理的な環境に依存しない、ソフトウェア開発などのプロジェクトもオフショア開発に向いています。ソフトウェア開発などの分野は世界的に技術仕様が標準化されているため、海外拠点でも国内と同様の開発環境を構築しやすいためです。
業務で用いるアプリケーションなどが、この種のプロジェクトの代表例です。場所の制約を受けずに、スムーズな開発が期待できるでしょう。
ロジックがシンプルなプロジェクト
ロジックがシンプルで、仕様が明確に定まっているプロジェクトもオフショア開発に向いています。要件が複雑でないため、言語や文化の壁を越えても開発者間の認識のズレが起こりにくいためです。仕様の誤解による手戻りのリスクが少なければ、プロジェクトを計画通りに進めやすくなるでしょう。
マニュアル化しやすいデータ入力や、手順が決められたテスト作業といった定型業務も同様の理由で適しています。
現地でも馴染みのあるプロジェクト
ECサイトやSNSなど、海外のエンジニアにとっても馴染み深いサービスの開発は、オフショア開発に適しています。ECサイトやSNSなどのサービスは世界的に普及しているため、開発者がビジネスモデルや基本的な機能を理解しやすいからです。プロジェクトの全体像を把握しやすくなることで、仕様の誤解から生じる手戻りのリスクが減少します。文化的な背景に依存する特殊な要件が少ないプロジェクトほど、円滑な開発が期待できるでしょう。
オフショア開発が適している分野
Webシステムやアプリ開発、システムの運用・保守など、オフショア開発の適用範囲は多岐にわたります。ここでは、オフショア開発が特に適しているとされる具体的な分野とその理由を解説します。
Webシステム開発
Webシステム開発は、オフショア開発が活用される代表的な分野の一つです。その背景には、開発に必要な技術仕様が世界的に標準化されており、海外のエンジニアでも開発を進めやすいという特徴があります。
具体的な例としては、ECサイトやマッチングサイト、SNS、業務システムなどの開発が挙げられます。いずれのシステムも基本的な構造がある程度定まっているため、オフショア開発に向いているでしょう。
アプリ開発
モバイルアプリ開発も、オフショア開発で広く活用されている分野です。iOSやAndroidといったプラットフォームは世界共通であり、開発に必要な技術仕様も標準化されているためです。これにより、海外のエンジニアでも国内と遜色ない品質での開発が期待できます。
開発会社によっては、UI/UXデザインの設計段階から開発までを一貫して委託することも可能です。
AI開発
AI開発の分野においても、オフショア開発の活用が進んでいます。特に、AIモデルの学習に不可欠な大量のデータ収集や、画像データに情報を付与するアノテーション作業といった工程がその対象です。データ収集やアノテーション作業は多くの人手を必要とする労働集約的な業務であるため、オフショア開発によるコスト削減効果が期待できます。
また、国内では確保が難しいAI専門のエンジニアを、海外の豊富な人材から見つけ出す手段としても有効です。
システム運用・保守
システムの運用・保守業務は、オフショア開発に適した分野です。運用・保守業務はマニュアル化しやすい定型作業が中心となるため、海外拠点でも品質を維持しながら効率的に進めることができます。また、日本との時差を活用することで、国内よりも低いコストで24時間365日の監視体制を構築できる点も大きな利点です。
継続的に作業が発生する特性上、人件費削減というメリットを長期にわたって享受できるでしょう。
オフショア開発に適したプロジェクトを見極めよう!
オフショア開発は、コスト削減やITリソース確保の有効な手段です。その効果を大きく引き出すには、大規模なプロジェクトや仕様が明確なものなど、オフショア開発に適した案件を見極めることが重要です。Webシステム開発やアプリ開発、システムの運用・保守といった分野は、特にその特性を活かしやすいでしょう。
株式会社SPでは、日本人プロジェクトマネージャーが全工程を管理し、オフショア開発特有の品質やコミュニケーションの課題を解決に導きます。1000件以上の豊富なプロジェクト実績に基づき、要件定義から開発、運用まで一貫してサポートしていますので、オフショア開発を検討している企業の担当者様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。