バイブコーディング（Vibe codingとは）とは？特徴やメリットを紹介

エンジニア不足は多くの企業にとって深刻な問題です。特に中小企業では、システム開発に必要な人材の確保や高騰する開発コストが、事業の成長を妨げる一因となっています。

そこで注目されているのが、AIを活用した新しい開発手法であるバイブコーディングです。AIと対話するように開発を進めることで、コーディングの効率化を図ります。

本記事では、バイブコーディングの基本的な意味や具体的な特徴、活用するメリットについて詳しく紹介します。

バイブコーディングとは？

バイブコーディングとは、AIと対話しながら直感的に開発を進める新しいプログラミングの手法です。自然言語で指示を出し、実装の大部分をAIに任せることで、AIと会話するように開発を進められることが特徴です。

バイブコーディングが生まれた背景には、LLM（大規模言語モデル）をはじめとするAI技術の飛躍的な進化があります。AIが高品質なコードを生成する能力を急速に向上させたことで、新しい開発手法が現実のものになりました。

バイブコーディングに注目が集まっている理由

バイブコーディングが注目を集める理由としては、プログラミングの専門知識が少ない人でも始められるため、コーディングの効率化やエンジニア以外の人材活用といったメリットが期待できる点が挙げられます。

従来よりも少ない労力で開発を進められれば、専門職でない人材でも開発に参加しやすくなります。特に開発リソースが限られるスタートアップや、市場投入までの時間が重視されるプロジェクトなどで、大きな効果が期待できるでしょう。

バイブコーディングの特徴

バイブコーディングには、従来の開発手法とは異なる特徴があります。バイブコーディングの主な特徴を5つご紹介します。

基本的には音声で指示を出す

バイブコーディングでは、キーボード入力に加えて、音声認識ツールを使って指示を出すことも特徴です。提唱者であるアンドレイ・カルパシー氏は、実際に音声入力ツールを駆使し、キーボードにほとんど触れることなくAIと対話しながら開発を進めます。

これにより、開発者は話すような感覚で、より直感的かつ迅速にアイデアをAIに伝えることが可能になります。思考を中断することなく、スムーズに開発を進められる点が大きなメリットです。

コードを細かく理解する必要はない

バイブコーディングでは、開発者がコードの細部までを厳密に理解していなくても開発を進められます。開発者は作りたいアプリケーションのアイデアや雰囲気を伝えることに集中し、AIが実装部分を担当するからです。

このアプローチでは、基本的に開発者はAIが生成したコードを逐一チェックするのではなく、ある程度AIに任せて進めます。そのため、プログラミングの技術的な詳細に時間を費やすことなく、アイデアを素早く形にすることが可能です。

ただし、AIへの過度な依存は、開発者自身のスキル低下につながる可能性も指摘されています。

自然言語でAIに指示を出す

バイブコーディングの大きな特徴は、プログラミング言語の代わりに普段使っている自然言語でAIに指示を出すことです。開発者は「〜のような機能を作って」というように、日本語や英語で話しかけながら開発を進めます。

これは、細かいコードのルールや設計書に従うのではなく、作りたいもののアイデアや雰囲気をAIと共有する手法です。エンジニアの主な役割は、プログラムを書くことから、AIとプロンプトを通じて対話し、その結果を確かめることへと変化します。バイブコーディングによって、開発者は専門的・技術的な作業から解放され、より創造的な業務に集中できるようになるでしょう。

エラーの処理もAIに任せる

バイブコーディングでは、開発中にエラーが発生した場合でも、その処理をAIに任せるのが基本です。一般的に、開発者は表示されたエラーメッセージを自分で解読するのではなく、そのままAIツールにコピー＆ペーストして修正を依頼します。

多くの場合、AIは与えられたコンテキストからバグの原因を特定し、適切な修正案を提示してくれます。このアプローチにより、開発者はエラー解決に費やす時間を大幅に削減できるのです。

ただし、AIが常に問題を解決できるとは限らず、時には人間による判断や別の指示が必要になる場面もあります。

AIの提案を受け入れる

バイブコーディングを実践する際は、基本的にAIが生成したコードや提案を受け入れていきます。AIを信頼して開発の流れに身を任せ、開発のテンポを落とさないことがこのアプローチの特徴です。

ただし、AIが生成するコードの品質に依存する開発手法のため、信頼性や安全性などの面で一定のリスクを伴います。

バイブコーディングを活用するメリット

バイブコーディングの活用は、開発の効率化や人材活用の面で多くの利点をもたらします。AIがコーディング作業の大部分を担うことで開発スピードが向上し、エンジニア以外の従業員も開発に参加しやすくなるため、教育の手間を省く効果も期待できるでしょう。

コーディングを効率化できる

バイブコーディングを活用する大きなメリットは、開発スピードと人的効率を劇的に向上させられる点です。AIがコード生成や構造理解、エラー修正といった作業を担うため、開発者は反復的な作業から解放されます。その結果、「どう作るか」という実装の詳細ではなく、「何を作りたいか」というアイデアの創出や仕様の検討といった上流工程への集中が可能となります。

従来の方法と比較してアイデアを迅速に形にできるため、市場投入までの時間も大幅に短縮できるでしょう。

エンジニア以外でも活用できる

バイブコーディングは、プログラミングの専門知識がない非エンジニアでも開発プロセスに参加しやすいという利点があります。専門的なプログラミング言語ではなく、日常的な言葉でAIに指示を出すため、コードの文法を学習する必要なく、学習コストは大きく低減されます。

これにより、企画担当者やデザイナーといった職種の人材が、開発の初期設計段階から積極的に関わることが可能になるのです。ソフトウェア開発の門戸を広げ、組織全体の創造性を引き出すことにつながるでしょう。

教育の手間を省ける

バイブコーディングは、社員の教育にかかる手間や時間を省く効果も期待できます。AIと対話しながら開発を進めるスタイルであるため、プログラミング言語などの学習コストが大幅に低減されます。新人や非専門職の従業員でも比較的早期に開発に携われるようになるため、教育に費やすリソースを抑えながら、効率的な開発体制を構築しやすくなるでしょう。