多くの中小企業が、人手不足や生産性の向上といった経営課題に直面しています。その解決策として注目されているのが、DX化です。しかし、何から手を付ければ良いか分からず、最初の一歩を踏み出せないケースは少なくありません。
DX化は企業の競争力を高めるために不可欠であり、正しい手順で計画的に進めることで、中小企業も大きなメリットを得られます。データやデジタル技術を活用し、自社の業務プロセスを変革していくことが重要です。
本記事では、中小企業がDX化を進めるための具体的なステップやメリット、活用できる支援サービスについて詳しく解説します。
中小企業におけるDX化のステップ
中小企業のDX化は、段階的なプロセスを踏んで計画的に進めることが重要です。
現状の課題を分析する
DX化の第一歩として、自社の業務プロセスを可視化し、どこに課題が潜んでいるかを正確に把握します。経営層だけでなく、実際に業務を行う従業員一人ひとりからヒアリングを行い、現場目線での問題点を洗い出すことが大切です。
非効率な作業や属人化している業務など、改善すべき具体的なポイントを明確にしましょう。洗い出した課題には優先順位を付け、どの課題から取り組むべきかを見極める必要があります。
DX推進計画を立案する
課題分析の結果を基に、DX化によって何を実現したいのか、具体的な目標を設定します。目標達成に向けた具体的な施策、必要なツールやシステム、そして予算とスケジュールを詳細に計画へ落とし込みます。
一度に全てを変革しようとせず、スモールスタートで始められるような段階的な計画を立てることも大切です。導入するシステムの費用対効果を事前に検証し、投資に見合うリターンが得られるかしっかりと検討しましょう。
DX推進チームを立ち上げる
DX化を全社的に進めるため、経営層を含めた専門の推進チームを組織することが求められます。メンバーは情報システムの部門だけでなく、営業や経理など、関連する各部署から選出するのが理想的です。
社内のリソースだけで対応が難しい場合は、外部の専門家を頼ることも検討しましょう。チームの役割と責任の範囲を明確にし、各部署と円滑に連携できる体制を構築することが重要です。
システムを活用してDXを進める
立案した計画に基づき、課題解決に直結するITツールやシステムの導入を開始します。本格導入の前に、まずは小規模な範囲で試行するPoC（概念実証）を行い、効果や課題を検証すると失敗のリスクを抑えられます。
新しいシステムをスムーズに定着させるためには、従業員向けの研修やマニュアル作成といったサポート体制も欠かせません。また、情報漏えいなどを防ぐためにセキュリティ対策も講じましょう。
問題がある場合は方向性を修正する
DX化は一度システムを導入して終わりではなく、その効果を定期的に測定し評価することが不可欠です。設定した目標（KPI）の達成度を確認するとともに、現場の従業員から使用感などのフィードバックを収集します。
もし期待した効果が得られていない、あるいは新たな課題が見つかった場合は、ためらわずに計画を見直しましょう。状況に応じて柔軟に軌道修正し、継続的に改善を繰り返していく姿勢がDX化を定着させます。
中小企業がDX化を進めるメリット
DX化の推進は、単なる業務のデジタル化にとどまらず、企業経営そのものに多岐にわたる利点をもたらします。
業務を効率化できる
これまで手作業で行っていたデータ入力や書類作成といった定型業務を自動化し、作業時間を大幅に短縮できます。
クラウドツールなどを活用すれば、場所を問わずリアルタイムでの情報共有が可能になり、意思決定の迅速化も図れるでしょう。従業員はより付加価値の高いコア業務に集中できるようになり、組織全体の生産性向上が期待できます。
人件費を削減できる
業務効率化によって従業員一人ひとりの生産性が高まるため、最小限の人数で業務を遂行できるようになります。結果として、残業時間の短縮や新規採用の抑制につながり、人件費の削減が可能です。
削減できたコストを新たな事業投資や従業員の待遇改善に充てることで、さらなる企業成長の原動力にもなるでしょう。人材不足の解消にも有効です。
ペーパーレス化を図れる
契約書や請求書などの書類を電子化することで、紙代や印刷代、インク代といったコストを削減します。書類の保管スペースが不要になる上、必要な情報を速やかに検索できるようになり業務がスムーズに進むでしょう。
さらに、オフィス以外の場所でも書類の閲覧や承認作業が可能となるため、テレワークなど、多様な働き方を実現しやすくなります。
BCP対策につながる
重要な業務データをクラウド上に保管することで、自然災害やサイバー攻撃といった不測の事態から情報を守ります。テレワーク環境が整備されていれば、従業員の安全を確保しながら事業を継続することも可能です。
BCP（事業継続計画）の実効性が高まり、企業のレジリエンス（回復力・しなやかさ）強化に直結します。顧客からの信頼維持にもつながるでしょう。
中小企業のDX化支援サービス
自社だけでDX化を進めるのが難しい場合、国や民間が提供する多様な支援サービスを活用することが有効です。
中小企業の補助金制度
国や地方自治体は、中小企業のDX化を後押しするための補助金制度を用意しています。代表的な「IT導入補助金」などを活用すれば、会計ソフトや受発注システムといったツールの導入費用の一部が補助されます。
初期投資の負担を軽減できるため、資金面に不安がある企業でもDX化に着手しやすくなるでしょう。ただし、申請には公募期間や要件があるため注意が必要です。
中小企業の支援機関
何から始めれば良いか分からない場合は、公的な支援機関に相談するのも一つの手です。
中小機構やよろず支援拠点、地域の商工会議所といった機関では、DXに関する専門家からのアドバイスを無料で受けられます。自社の経営課題を整理し、どのような方向性でDX化を進めるべきか、客観的な視点から助言をもらえるでしょう。「どのようなITツールを選んだら良いか」などの相談も可能です。
民間の支援サービスの利用
より専門的で具体的な支援を求めるなら、民間のDX支援サービスを利用するのがおすすめです。
システム開発会社などは、企業の課題分析から計画策定、導入、運用保守までを一貫してサポートしてくれます。現場の業務に即した提案を受けられるため、自社にITの知見を持つ人材がいない場合なども、心強いパートナーとなるでしょう。
中小企業もDX化を進めて事業を展開しよう！
中小企業がDX化を進めるには、まず自社の課題を正確に分析し、段階的な計画を立てることが不可欠です。業務効率化やコスト削減、BCP対策の強化など多くのメリットがあるため、積極的に取り組むことをおすすめします。自社だけで進めるのが難しい場合は、国や民間の支援サービスをうまく活用しましょう。
株式会社SPでは、現場に寄り添った丁寧なヒアリングで、お客様の潜在的な要望を具現化します。PoCから始める段階的な支援も可能で、企業の状況に合わせた柔軟な提案が強みです。DX化に関するお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。
