企業向けシステム開発におけるセキュリティ対策のポイントを紹介

現代の企業は、スパイウェアや標的型攻撃メールなど、多様なサイバー攻撃の脅威に日々さらされています。そのため、事業で利用するシステムには、開発段階から堅牢なセキュリティ対策を施すことが不可欠です。

そこで重要になるのが、要件定義から設計、運用に至るまで、開発の全工程でセキュリティを組み込む考え方です。システムのライフサイクル全体で対策を講じ、安全性を高めましょう。

本記事では、システム開発におけるセキュリティ対策の重要性や、開発段階ごとの具体的な内容について解説します。

システム開発におけるセキュリティ対策の重要性

事業を安全に継続するためには、システム開発の段階からセキュリティ対策を講じることが不可欠です。特に、開発の初期である設計段階で対策を施す「セキュリティ・バイ・デザイン」という思想が重要視されています。

設計段階で対策を行うことで、運用段階で問題が発覚した場合と比べて、コストを大幅に削減できると言われています。また、個人情報保護法などの法令を遵守するためにも、セキュリティ対策への取り組みは必須です。

セキュリティ対策の内容を開発段階ごとに紹介

システムの安全性を確保するためには、開発のライフサイクル全体でセキュリティを意識することが求められます。具体的には、要件定義から設計、実装、テスト、そして運用に至るまで、各段階で適切な対策を講じる必要があります。

要件定義における対策

システム開発の最初の工程である要件定義では、実装すべきセキュリティ機能を明確にすることが重要です。

要件定義では、どのような情報を保護し、どのような脅威からシステムを守るべきかを具体的に定義します。個人情報保護法といった法令や、クレジットカード情報を取り扱う際のセキュリティ基準であるPCI DSSへの準拠も、この段階で要件として組み込むべきです。

ここで定義されたセキュリティ要件は、後の設計や実装工程における指針となります。第三者の視点を取り入れ、要件の妥当性を評価することも有効な手段です。

設計段階における対策

設計段階では、要件定義で定められたセキュリティ要件をシステムの具体的な仕様に落とし込みます。この「セキュリティ・バイ・デザイン」という考え方は、開発の早い段階でセキュリティを組み込むことで、手戻りを防ぎコストを抑制する上で極めて重要です。

具体的には、想定される脅威を洗い出し、それらに対抗するための機能をシステムのアーキテクチャや機能設計に反映させます。データの暗号化方式やアクセス制御の仕組みなどを詳細に決定するのも、この設計段階です。

設計書が完成した段階で、セキュリティ専門家によるレビューを受けることで、設計上の脆弱性を未然に発見し、修正できます。

実装段階における対策

実装段階では、設計書で定められた仕様に基づき、セキュリティを考慮したコーディングを行います。

多くの開発現場では、セキュリティスキルを持つエンジニアが不足しているという課題があります。そのため、開発者自身が脆弱性を作り込まないよう、専門的な知識を習得することが不可欠です。

例えば、「認定セキュアWebアプリケーション設計士」のような資格取得を目指せるトレーニングを受講するのも有効な手段と言えます。組織としてセキュアコーディングの規約を整備し、開発者全員がそのルールに従って実装を進める体制を整えることも重要です。

テストにおける対策

システムが完成した後のテスト段階では、脆弱性が存在しないかを確認するための検証が必要です。開発者自身による診断は客観性に欠ける可能性があるため、専門知識を持つ第三者機関による脆弱性診断を受けることをおすすめします。

ツールによる自動検査と専門家による手動検査を組み合わせることで、精度の高い検証が可能です。また、診断時はWebアプリケーションだけでなく、スマートフォンアプリやサーバー、ネットワーク機器など、システムの構成要素全体を診断対象とすることが大切です。

発見された脆弱性に対しては、具体的な改善策の提言を受けることで、効果的な修正対応につながります。

運用段階における対策

システムをリリースした後も、セキュリティ対策は継続的に行う必要があります。OSやソフトウェアには新たな脆弱性が発見されることがあるため、常に新しい状態へ更新し続けなければなりません。また、不正なアクセスや攻撃を早期に検知するための監視体制を整え、インシデント発生時の対応手順をあらかじめ定めておくことも大切です。

開発と運用が連携してセキュリティを維持・向上させる「DevSecOps」という考え方も、徐々に浸透しつつあります。また、定期的な従業員教育を通じて、組織全体のセキュリティ意識を高める取り組みも、運用における重要な対策です。

システム開発におけるセキュリティ対策のポイント

企業向けシステム開発におけるセキュリティ対策のポイントを紹介

システムの安全性を確保するためには、実装すべき重要な対策ポイントがいくつかあります。情報を守るための仕組みを確実に講じることが、システム運用の基本です。

ここでは、代表的な対策ポイントを紹介します。

アクセス制御

アクセス制御とは、システムの利用者ごとに閲覧・操作できる情報の範囲を制限する仕組みです。アクセス制御は内部の従業員による操作ミスや、不正な情報持ち出しを防ぐ上でも重要です。

具体的には、IDとパスワードを厳重に管理するとともに、役職や担当業務に応じて、一人ひとりに適切なアクセス権限を設定します。これにより、利用者は自身の業務に不要な情報へアクセスできなくなり、情報漏えいのリスクを低減できます。

データの暗号化

データの暗号化は、システムが保有する重要な情報を保護するための基本的な対策です。これは、万が一データが外部に漏えいしてしまった場合でも、第三者がその内容を解読できなくするための技術です。

特に、顧客の個人情報や企業の機密情報といった重要なデータは、保管時も通信時も暗号化することが求められます。

暗号化を適切に実装することで、不正アクセスや盗難による情報漏えいのリスクを大幅に軽減できます。

バックアップ対策

サイバー攻撃やシステム障害によって、重要なデータが失われるリスクに備えるためには、バックアップ対策が不可欠です。バックアップとは、システムのデータを定期的に複製し、より安全な場所に保管しておく取り組みです。

万が一、元のデータが破損したり利用できなくなったりした場合でも、バックアップからデータを復元することで事業を継続できます。また、データの復旧手順やバックアップの頻度をあらかじめ定めておくことも重要です。

セキュリティ対策を徹底してシステム開発を成功させよう!

システム開発においては、多様なサイバー攻撃から企業の情報を守るため、セキュリティ対策が不可欠です。アクセス制御やデータの暗号化、バックアップなどの対応によって、システムの安全性を高められます。

なお、セキュリティ対策では、要件定義から設計、運用に至るまで、開発の各段階で計画的に実施することが大切です。

株式会社SPは、企画から開発、運用までを一貫して支援する体制を構築しており、開発の全工程でセキュリティを確保します。企業の課題に合わせた開発提案を得意としており、それぞれの状況に応じたセキュリティ対策を講じることができます。

安全性の高いシステム開発を目指す企業のご担当者さまは、ぜひ一度お問い合わせください。