
はじめに
最近では、生成AIを自分のアプリケーションやシステムに組み込みたいと考える人が増えています。Googleの Gemini API を使えば、誰でも簡単に生成AIをAPIから呼び出しシステム化に活用することができます。また、Gemini APIには無料枠も用意されており、初めての方でも安心して試すことができます。
この記事では、Gemini APIの基本から、Pythonを使用した実際のコード例、応用的な使い方を紹介します。
Gemini APIとは?
GeminiはGoogleが提供する大規模生成AIモデルで、テキスト生成、コード補完、画像理解など幅広い用途に対応しています。
Gemini APIは、API Keyを取得するだけで、Pythonなどから簡単に呼び出すことができます。
特徴
- 高精度な自然言語生成(文章・コード・説明など)
- 無料利用枠あり(初期試用に最適)
- シンプルなAPI構成で導入が容易
無料枠と料金体系
Gemini APIには、無料枠(Free Tier)が用意されており、個人や小規模プロジェクトであればほとんどコストをかけずに機能を試すことができます。
以下は2025年10月時点の無料枠の目安です。上限はモデル・地域・利用状況で変動する場合があるため詳細は公式ドキュメントを確認してください。
| model | 主な特徴 | 1分あたりリクエスト数(RPM) | 1分あたり入力トークン数(TPM) | 1日あたりリクエスト数(RPD) |
|---|---|---|---|---|
| Gemini 2.5 Pro | 高精度・汎用型。文章生成やプログラム補完に最適。 | 5 | 125,000 | 100 |
| Gemini 2.5 Flash | 高速処理タイプ。応答スピードを重視するアプリに。 | 10 | 250,000 | 250 |
| Gemini 2.5 Flash-Lite | 軽量モデル。小規模処理・チャットボットなどに適用しやすい。 | 15 | 250,000 | 1,000 |
補足:
- リクエスト数(Requests):APIを呼び出した回数、
- トークン数(Tokens):モデルが処理するテキスト量の単位
セットアップ手順
GeminiをAPI利用する場合は、まずAPI Keyを取得し、コード上でキーを指定する必要があります。
API Keyの取得
まず、Google AI Studio にアクセスし、以下の手順でAPI Keyを取得します。
- 左メニューから 「Get API key」 をクリック
- 右上の「APIキーを作成」ボタンをクリック
- 「キー名」と「プロジェクト」を設定
キー名:任意の名前を付ける
プロジェクト:任意のプロジェクトを設定(なければ「Create Project」で作成) - 表示されたキーをコピーして安全に保管(※GitHubなどに公開しないよう注意)

ライブラリのインストールと初期設定
以下のコードを実行して、Gemini APIのインストール、APIキーの入力、モデル選択を実施します。
%pip install -U -q 'google-genai>=1.0.0'
from google import genai
from google.genai import types
GEMINI_API_KEY = "APIキーを入力"
client = genai.Client(api_key=GEMINI_API_KEY)
MODEL_ID = "gemini-2.5-flash" # モデルを選択
基本のテキスト生成
Gemini APIは、以下のコードだけでテキスト生成を行うことができます。
response = client.models.generate_content(
model=MODEL_ID,
contents="リモートワークの生産性を上げるコツを教えて"
)
print(response.text)
出力例:

出力のカスタマイズ
Geminiの出力はパラメータ設定により、創造性や安定性を自在に調整できます。
response = client.models.generate_content(
"リモートワークの生産性を上げるコツを一文で教えて",
generation_config={
"temperature": 0.2,
"max_output_tokens": 512,
"top_p": 0.9
}
)
print(response.text)
主なオプション
| パラメータ | 種別 | 説明 | 例 |
|---|---|---|---|
| temperature | float | 出力の創造性を制御(高いほど多様で、低いほど安定した出力) | 0.7 |
| top_p | float | 確率分布の上位を使用(高いほど多様で、低いほど安定した出力) | 0.9 |
| max_output_tokens | int | 出力の最大トークン数 | 512 |
Gemini APIの応用例
Gemini APIは単純なテキスト生成だけでなく、Google検索結果の利用、出力形式の指定、ファイル入力など、より高度な操作にも対応しています。
Google検索の結果を利用
Googleでの検索結果を用いて最新情報を反映させたい場合は、外部ツール連携が有効です。
response = client.models.generate_content(
model=MODEL_ID,
contents="明日(2025/10/11)の東京都港区の予想最高気温と最低気温を教えて",
config={
"tools":[{ "google_search": {} }]
}
)
print(response.text)
出力例:

DataFrameとして出力
結果はテキストだけでなく、構造化データとしても取得できます。受け取ったJSONはDataFrameに変換でき、生成されたJSONデータを直接Pandasで扱うことで、AIが作成した情報を簡単に分析や可視化に利用できます。
import pandas as pd
import json
response = client.models.generate_content(
model=MODEL_ID,
contents="日本、韓国、タイの人口と面積をJSON形式で出力して",
config={
"response_mime_type": "application/json"
}
)
data = json.loads(response.text)
df = pd.DataFrame(data)
df
出力例:

ファイルの入力
Gemini APIは、以下のコードで画像や音声・動画、ドキュメントファイルを入力として扱うことができます。
myfile = client.files.upload(file="example.pdf")
response = client.models.generate_content(
model=MODEL_ID,
contents=[
myfile,
"このPDFを要約してください",
]
)
まとめ
Gemini API は、無料で・すぐに・簡単に使える生成AIプラットフォームです。
無料枠でも十分に実用レベルの機能を体験できるので、まずは触ってみるのがおすすめです。
また、Gemini APIは、Python以外の言語(JavaScriptやGoなど)からも利用できるため、様々な開発環境に組み込みやすい点も魅力です。
生成AIを自社システムや個人開発に取り入れたいエンジニアにとって、Gemini APIは非常に有用な選択肢です。
お読みいただきありがとうございました。
